チップソーカッターは、チップソー切断機・金属カッターとも呼ばれ、とくに金属材料の切断に適した電動切断工具です。HiKOKIやマキタなどの工具メーカーが多彩な商品展開を見せていて、とくに近年は持ち運びやすい形状の製品が多くなってきました。
チップソーカッターの購入を考えたとき、選ぶポイントにはどのようなものがあるでしょうか。よく似た工具である丸ノコとの違いから、おすすめの形状や機能を見ていきます。
目次この記事でおすすめする商品
チップソーカッターの用途
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チップソーカッターは鉄をふくむ金属類を切断するために用いられます。ブレード部であるチップソーは丸ノコ形状で、一つ一つの刃先に超硬チップと呼ばれる耐久性の高い切れ刃が付いています。この刃が高速回転して、硬い金属を切っていく仕組みです。
金属切断では、切断砥石をつけたディスクグラインダーが使われることもあります。取り回しやすさが利点の工具ですが、切り屑と一緒に砥粒や火花が出やすく、切断面にバリもかなり残ります。ディスクが小さいので切断が遅いのも難点です。その点チップソーカッターなら素早く綺麗に切断できます。
丸ノコとの違い
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丸ノコとチップソーカッターはかなり似ていますが、用途の異なる工具です。金属切断に適したチップソーカッターに対して、丸ノコは木材切断に使われます。
刃の形状を見てみましょう。丸ノコは波型の尖った刃がびっしりと並び、刃数は50個前後です。一方のチップソーカッターは横長の四角い形状の刃がついていて、刃数は20個程度しかありません。しかし、刃1枚ごとの強度を高めて全体の摩擦を減らしてくれるため、硬い金属の切断には最適な形状です。
本体機能にも違いがあります。丸ノコは切断力を高めるために回転が早いものですが、チップソーカッターは摩擦熱による刃の焼けを防ぐために回転が遅めです。刃の保護カバーなどにも耐熱を高めるための素材が使われています。
チップソーカッターの選び方
金属部材の加工に適したチップソーカッターは、何よりも使いやすさを第一に考えたいものです。形状・電源形式・機能の選択肢にはどのようなものがあるのでしょうか。
形状で選ぶ
チップソーカッターは3つの形状に大別できます。持ち運びやすいハンディタイプ、精密な作業ができる定置タイプ、両者の利点をあわせ持ったハイブリッドタイプです。形状により適した用途・作業場所が変わってくるので、最初に考えましょう。
機動性抜群のハンディタイプ
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ハンディタイプのチップソーカッターは、土台であるスタンドが付いていません。モーター・ブレード部からなる本体と、切り込み深さ・角度を調整するためのベース・ガイド金具で構成されています。切断対象を持ってくるだけでなく、切断したい場所に持って行って使える利点があります。
ハンディタイプを選ぶならコードレスな充電式がおすすめです。コード長による制限を受けないので気軽に持ち運びやすい上に小回りが利き、コードを踏んでしまうおそれもありません。
高精度に切断できる定置タイプ
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定置タイプはチップソー切断機とも呼ばれ、鉄パイプや板などを切断する用途に向いています。スタンドに切断対象を置いて、ブレード部を少しずつ下げながら切っていくので作業が安定し、熟練者にかかれば切断面がなめらかです。
ただ、スタンドとブレードが一体化しているため大きすぎる素材には使えませんし、一定以上の角度から切り込みを入れることもできません。精密な作業ができる分、使い勝手ではハンディタイプに負けてしまいます。
定置とハンディの良いとこ取りをしたハイブリッドタイプ
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ハイブリッドタイプは、定置タイプ・ハンディタイプのどちらにも使用可能です。普段は定置タイプとして使い、持ち運びたい時にはスタンドから外してベース金具を取り付ければハンディタイプにできます。価格はやや高価ですが、1台2役をこなしてくれるので作業用途が広がるでしょう。
電源方式で選ぶ
電源の取り方は、コンセントにプラグを差し込むAC電源式と、バッテリーに充電してから使う充電式に分かれます。技術の進歩により使いやすくなった充電式が近年の主流です。
バッテリーを気にせず作業できるAC電源式
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AC電源式はコンセントから直接電気を取れるため、チップソーカッターの使用時間を気にせず切断を続けられます。大量のパイプ切断をしていく作業などでは、充電残量の制限を受けないこちらの電源形式の方が適しているでしょう。
コードにより本体が繋がれるため、機動性はあまり良くありません。定置タイプであれば大抵がAC電源式ですが、取り回しやすさが魅力のハンディタイプでわざわざ選ぶ必要はないでしょう。
コードを気にせず作業できる充電式
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充電式のチップソーカッターは、充電池の電池残量がある限り動かせます。コンセントにコードを差し込む必要がないため持ち歩きができ、屋外で積まれた鉄板を切っていく、四角い枠型に切りたいなどの用途におすすめです。
充電式工具全般に言えることですが、充電がゼロになると動かせなくなり、充電中は使えない点がネックです。ただ、近年はバッテリー改善により1充電あたりの作業量が大きくなってきて、利便性が向上しています。
便利な機能で選ぶ
従来のチップソーカッターには、ダストボックスがすぐ一杯になる、音がうるさいなどの問題が見られました。これらの不満点を解消してくれる便利な機能付きの製品が続々と開発されています。
集塵機に接続できるもの
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チップソーカッターを使って金属を切断していくと金屑が出ます。多くの製品はダストボックス付きですが、一歩進めて集塵機に接続できるタイプが便利です。
集塵機に接続可能なチップソーカッターは、Hiokiやマキタなど大手電動工具メーカーから販売されています。とくにマキタでは電動工具と集塵機が無線連動できるモデルも展開していて、そのような機能付きなら電源管理が簡単です。
屋内でも安心なサイレントモード付属
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近隣に住宅のある作業場やDIY用途なら、サイレントモード付属のチップソーカッターを選びましょう。この機能はモーター回転数を落とすことで駆動音・切断音を低減させてくれます。リフォーム工事のように街中で行う前提の作業にもピッタリです。
暗い作業場でも快適なLEDライト付き
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切断箇所を照らせるLEDライトが付いていれば、暗めの作業現場でも問題なく使えます。チップソーカッターは開けた場所だけでなく天井裏や倉庫内といった暗所で使うことも多いですから、墨線・ケガキ線が見やすいLEDライト付きが便利です。
チープソーカッターのおすすめ人気ランキング10選
チップソーカッターの中でも、持ち運びやすく用途が広いハンディタイプの製品を10個ご紹介します。どのカッターも機能面が充実していて人気です。
1位 Panasonic 充電デュアルパワーカッター本体 金工刃つき EZ45A2XM-H
重量:2.05kg
最大切り込み深さ:46mm
形状:ハンディタイプ
電源方式:充電式
機能:防塵・耐水、ブレーキ付き、LEDライト、深さ調整機能、高温・過放電からの電池保護、3WAY切粉排出
安全性と作業のしやすさが考えられたおすすめの一台
多くの機能を持っている、大手メーカーのパナソニック製チップソーカッターです。ハンドルは持ちやすい造りで、先端を握って両手でしっかり固定できます。切断時に出る粉塵は、後方への排出・ダストケースに収納・集塵機への接続と3通りの対処が可能です。
ダストカバーは刃先ライン付きで刃の位置が確認しやすく、その先にはベース金具に穴があいています。この穴から素材に引いた墨線を見られるので、正確に切っていけるでしょう。LEDライトもこの穴を中心に照らす構造になっています。
防塵・耐水の等級はIP56で、かなり高い性能を示す数値です。また高負荷の作業で電池温度が高くなると、ランプが点滅して回転をストップします。故障を防いで長く使っていけます。
スイッチを切ると素早く刃が止まるブレーキ付きです。正確かつ安全な作業をサポートしてくれる、初心者から熟練者にまでおすすめのチップソーカッターです。
2位 BOSCH バッテリーチップソーカッター GKM18V-LIH
重量:2.7kg
最大切り込み深さ:50mm
形状:ハンディタイプ
電源方式:充電式
機能:ブレーキ付きスイッチ、LEDライト、ECP機能
ハイパワーで切れ味のよさが魅力
ドイツの工具メーカーであるボッシュ製チップソーカッターで、切れ味と耐久性が高評価です。チップソーカッターとしては回転速度が高めで、作業効率アップが期待できます。
ボッシュ製で同電圧のバッテリーなら、容量が異なるものでも使えるフレキシブルな機能があり、作業・充電時間によってバッテリーを選択可能です。また、バッテリーを過放電・過負荷・オーバーヒートから守るECP機能付きで、故障の心配を減らしてくれます。
本体正面には現場に仮置きもしやすい引き出し式のフックが付いています。切断作業に熟練した方には魅力的な性能ではないでしょうか。
3位 リョービ 充電式防じんスチールカッタ BSC-520
重量:2.8kg
最大切り込み深さ:52mm
形状:ハンディタイプ
電源方式:充電式
機能:防塵、LEDライト、ソフトスタート
スムーズに作業をしたいプロ向けの機器
大きなダストカバー付きのチップソーカッターです。セイフティロックだけでなく、スイッチを切ると回転がすばやく止まるブレーキ付きで、安全に使えます。
1充電あたりの作業量が大きくなっているので、鉄板をたくさん切らなければいけないプロにも使いやすいでしょう。切り込み深さは52mmと大きめで、平鋼やパイプはもちろんCチャン・アングルの切断も可能です。
ソフトスタート機構により起動時の反動が抑えられていて、なめらかな切り出しができます。現場作業に大きく活躍してくれる製品です。
4位 リョービ 防じんスチールカッタ SC-520
重量:3.8kg
最大切り込み深さ:52mm
形状:ハンディタイプ
電源方式:コード式
機能:防塵、LEDライト
安定した作業を行いたい方におすすめ
ハンドルが2つ付いた珍しい形状で、両手で持ちながらの安定した作業に向いています。左手ハンドルにつけられたLEDが刃先を照らしてくれるため、暗所での作業も行いやすいでしょう。
コード長は5mとたっぷりあるのでコンセントから多少離れた場所でも問題ありません。重量はコード式としては軽めで、バッテリー残量を気にすることなくどんどん作業したい方にぴったりです。
5位 HiKOKI 14.4V コードレスチップソー切断機 CD14DFL(LYP)
重量:6.3kg
最大切り込み深さ:スタンド装着時 40mm / ハンディタイプ時 45mm
形状:ハイブリッドタイプ
電源方式:充電式
機能:本体とスタンドが着脱可能、LEDライト、バッテリー残量表示
1台2役のハイブリッドで使い道が広い
普段は定置タイプとして使いながら、ベース金具をつければハンディタイプに早変わりします。パイプ切断なら定置、板切断ならハンディで、と使い分けられる用途の広さが魅力です。
スイッチ上部にはスイッチロックがついていて、ロックを押しながらスイッチを引くことで作動します。2段操作なので持ち運び時に不意に動き出す心配がありません。また、このスイッチロックはライトスイッチも兼用しています。
6位 HiKOKI 18V コードレスチップソーカッタ CD18DBL(LYPK)
重量:2.6kg
最大切り込み深さ:46mm
形状:ハンディタイプ
電源方式:充電式
機能:サイレントモード、キックバック軽減システム、ブロワ機構・ソフトスタート、LEDライト、集塵機と接続可能
サイレントモードで騒音を抑えられる
機能多彩な製品で、とくにサイレントモード搭載が特徴です。低負荷時は回転数を抑えて、内装工事での使用時に騒音を減らせます。集塵機とも接続できるのでスムーズな作業が可能です。
また、モーター回転数が急速低下したときには瞬時にモーターを停止してくれるため、チップソーカッター使用時に危険なキックバックを軽減してくれます。作業者の安全性にも配慮しているのは嬉しい点でしょう。
7位 マキタ 充電式チップソーカッタ CS540DRF
重量:2.5kg
最大切り込み深さ:45mm
形状:ハンディタイプ
電源方式:充電式
機能:LEDライト、のぞき窓プレート
軽量でDIY向きな機能を持っている
本体重量が軽量で、手にフィットするグリップと合わせて持ち運び・片手持ちがしやすくなりました。機能は限定的になったものの、のぞき窓プレートがついたことにより刃先が見やすく、粉塵の飛散も防いでくれます。
最大切り込み深さは45mmと小さめなので、切断対象に見合っているかを検討しましょう。DIY用途であれば十分な性能を持っています。
8位 マキタ 充電式チップソーカッタ CS553DRG
重量:3kg
最大切り込み深さ:57.5mm
形状:ハンディタイプ
電源方式:充電式
機能:モーター自動変速、防塵・防滴、バッテリー残量表示、LEDライト
さらに便利になったマキタ製のチップソーカッター
9位の製品の型番違いです。本体重量はやや増したものの、1充電あたりの作業量が向上しました。ゴミ捨てのしやすいダストボックス付きで、別売りのダストキャップをつければ集塵機と接続できます。ネックはやはり手の出しづらい価格です。
9位 マキタ 充電式チップソーカッタ CS551DRG
重量:2.7kg
最大切り込み深さ:57.5mm
形状:ハンディタイプ
電源方式:充電式
機能:モーター自動変速、防塵・防滴、バッテリー残量表示、LEDライト
チップソーカッターに欲しい機能が充実
プロから人気が高いメーカーのマキタらしい、多機能な製品です。中でもモーター自動変速が便利で、負荷にあわせて回転数を調整してくれます。機能多彩なためか高価格なのが悩みどころでしょう。
10位 HiKOKI チップソーカッタ CD7SA
重量:4kg
最大切り込み深さ:60.5mm
形状:ハンディタイプ
電源方式:コード式
機能:LEDライト
厚い鉄板にもしっかり切り込める
最大切り込み深さが大きいモデルで、厚めの素材への使用に適しています。ハンディタイプとしては重めの重量とコード式なのがネックです。
Panasonic 充電デュアルパワーカッ……
21,082円
BOSCH バッテリーチップソーカッタ……
21,560円
リョービ 充電式防じんスチールカ……
35,800円
リョービ 防じんスチールカッタ SC……
28,200円
HiKOKI 14.4V コードレスチップソ……
48,685円
HiKOKI 18V コードレスチップソー……
44,949円
マキタ 充電式チップソーカッタ CS……
22,629円
マキタ 充電式チップソーカッタ CS……
49,275円
マキタ 充電式チップソーカッタ CS……
47,200円
HiKOKI チップソーカッタ CD7SA
27,890円
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製品
最安値
評価
リンク
4.53
3.33
4.25
4.83
4.8
4.2
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4.35
4.73
部品の最大寸法に合わせて、最大切り込み深さもチェック
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チップソーカッターは製品ごとに最大切り込み深さが決まっています。設定されている能力以上の厚さのものは上手く切断できませんので、最大切り込み深さの確認は重要です。
たとえば最大切り込み深さ30mmのカッターで厚さ50mmの板を切ろうとしても、一度では切れません。裏返して刃を通せば切れますが、時間がかかりますし切断面が汚くなってしまいます。作業対象の最大寸法を1度で切れるものを選びましょう。
安全メガネ・防護マスクの着用を忘れずに
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チップソーカッター使用中は、火花・切粉・粉塵が飛び散ります。安全メガネ・防護マスク・手袋などの保護具装着を忘れないようにしてください。
また、作業時の服装はきちんとして、服の一部や髪が前面に飛び出ないように心掛けましょう。紐やネクタイ、裾から出たシャツなどは刃に巻き込まれる危険性があります。
まとめ
チップソーカッターは金属板・鉄骨を切るために用いられる工具です。形状は定置・ハンディの2タイプが主ですが、使いやすさならハンディタイプがよいでしょう。電動工具の主流となってきている充電式とも機能が噛み合っています。
静音性や集塵機能などの機能面が選び方のポイントですが、最大切り込み深さも無視できません。作業が2度手間になることもありますから、どの程度の能力があれば十分かを考えて選んでみてください。